フジBC技研株式会社

2010年1月1日

金属加工業界での生産性向上と環境対策を両立するセミドライ加工法

連絡先

フジBC技研株式会社 営業総括
名古屋市瑞穂区塩入町3-1 052-819-5411

受賞のポイント

高性能な給油装置と専用工具により、切削油廃液の発生量を劇的に減少させるミスト加工技術を提案し、金属加工の分野における廃棄物と電力消費量の削減に大きく寄与した点が評価された。

概要

セミドライ加工とは、1時間あたり2~30ccという極微量の油剤で従来の大量に供給するクーラント(切削液)に匹敵する加工を行う技術です。
ブルーベセミドライ加工システムは、①環境にやさしい植物油をベースとした高潤滑油剤と②レスポンス良く的確に加工点に供給する給油装置、③専用工具を含めたエンジニアリングによる三位一体の技術で限りなくドライに近い加工を実現します。この加工法は、一般に作業環境改善や廃棄物削減、消費電力削減に伴うCO2削減等の環境対策として考えられてきました。しかし、現在では生産性の向上と環境対策が両立するコスト削減の手段として注目されています。この新しい概念の加工法からは、様々なメリットが生まれます。自動車産業に代表されるクランクシャフトの小径深穴加工は、切屑排出のために大量の切削液を高圧で送り込む必要がありました。しかし、セミドライ加工、油穴付超硬ソリッドロングドリル、高性能マシニングセンタの組み合わせにより、従来工法の5倍以上の高能率加工(サイクルタイムの短縮)が実現できました。高能率加工は最大のコスト削減であり、省エネルギーに貢献できます。また廃棄物削減をはじめ、専用機からマシニングセンタへ置き換える事が出来たため機械台数を削減し、ライン構成での大幅なコスト削減も達成できました。既に、この分野の加工だけでも多くの自動車メーカーが採用し、累計で800台以上の納入実績があります。

セミドライ加工による電力の削減効果

セミドライ加工による電力の削減効果

先駆性・独創性

油剤をミスト状にして加工点に供給する技術は過去から存在しています。フジBC技研では単にミストを供給するのではなく、加工内容、設備に合わせた供給方法の最適化を目指すため、給油装置を開発し数々の個別案件に対応してきました。特に内部給油機では搬送に適したミストの生成において数々の特許を取得しています。ミスト搬送技術は潤滑油供給の方法として存在していましたが、これを一早く切削加工の分野に取り入れ、金型の高品位長時間連続加工の実現で標準化され、クランクシャフトの小径深穴加工では、従来工法の5倍以上の高能率加工を可能とし、この分野の新規設備は必ずセミドライ加工が選択されるようになりました。今やセミドライ加工は環境のみならず高能率加工を目的に採用される事が多くなっています。

先駆性・独創性

今後の展開計画・継続性

今後はアルミ、新素材部品加工や次世代EV自動車生産に向け塑性加工に力を入れていきます。また日本は世界一の工作機械生産国であり、その工作機械に搭載されることで世界規模の環境対策に貢献できると考えています。しかし、様々な条件下での安定吐出や油量の制御が必要となり、配管構造、ツーリングの改良を含み多くの課題が残っています。さらに市場に受け入れられる様に容易に取り付けやメンテナンスが出来る仕様を考案していく必要があります。特に中国、東南アジアでは、その必要性が高いと考えられます。既にアメリカ、ドイツ、東南アジアには関連会社や代理店があり、2年前には中国に子会社を設立しました。今後は国内のみならず、クローバルな展開を進めていきます。

セミドライ加工による廃棄物の削減効果

切削液を使用している工場では、一定期間後にスラッジとともに汚泥廃液が発生し、廃棄する必要が生じます。切削液は、製品や切屑への付着、蒸発によって減量しますが、本来は繰り返し使用された後に廃棄物となります。マツダでは焼却処理されていた廃棄物の32%が切削油廃液であり、加工工程の90%にセミドライ工法を導入し、切削液使用量を84%削減した事例があります。日本全体でセミドライ加工の普及が進めば年間十数万トンの廃棄物(廃液)削減が可能になります。

セミドライ加工による廃棄物の削減効果

啓発活動

各種展示会でのセミナー、ワークショップをはじめ小規模勉強会出張セミナーなどを通じ、セミドライ加工の導入事例やメリットと共に、環境対策と高能率加工を両立できる有効な手段である事を提唱してきました。また社内にトライアルセンターを設置し、研究開発及び導入を検討するための基礎データづくりなどを行ってきました。さらに現場での取り付け、トライアル、修理、メンテナンスなどアフターフォローにも注力し、ユーザーのバックアップを行ってきました。

啓発活動

連携・恊働の内容・可能性

既に多くの工作機械メーカーとの仕様書取り交わしも行われています。また、国内大手工具メーカー(5社)には弊社給油装置が導入されセミドライ用工具の開発が行われています。さらにツーリングメーカー、ロータリージョイントメーカーとも協力体制がつくられています。大学関連では名古屋大学、静岡大学、香川大学、ものつくり大学、岐阜大学、鳥取大学、東京大学、防衛大学他多くの研究機関が装置を導入しています。今後も新たなアプリケーション開発を様々な方々との協力の下、行っていく必要があります。他にセミドライ加工の効果を数値化していく取り組みを立ち上げ進行中です。この中ではCO2削減を含めた今まで数値化が難しいと考えられていた部分を含め、トータルで評価できる指標づくりを行っていきます。

連携・恊働の内容・可能性