矢作川森の健康診断実行委員会

2017年7月24日

森の健康診断
~市民と研究者と森林ボランティア協働の森林調査と環境教育活動~

連絡先

矢作川森の健康診断実行委員会 http://mori-gis.org/
名古屋市中村区那古野1-44-17嶋田ビル203 090-9916-1546

受賞のポイント

市民・研究者・ボランティアの協働のもと、森の健康診断を行うことにより健全な森づくりを進め、取組を全国に普及したことは、環境意識の向上と地域の環境活動の推進に大きく貢献するものと高く評価された。

概要

きっかけ

矢作川森の健康診断

森の健康診断は、2000年9月の東海豪雨被害をきっかけとして2005年6月に始まった。東海豪雨による土砂崩れは数百か所におよび、矢作ダムは流木で埋まった。人工林は間伐、下草刈りなどの手入れが欠かせないが、安価な輸入材の影響を受け国内の林業は衰退し、後継者不足などから手入れがされておらず、生育が悪く木がモヤシのようになっている。そのため大雨などによる土砂崩れが発生しやすい。「愉しくて少しためになる」を合言葉に、流域住民が矢作川の水源の森を健康診断し健全な森づくりにつなげること、さらには全国への波及を想定して調査方法や調査器具を開発し、活動を展開した。

診断方法

1チーム7人ほどでボランティアリーダーの先導により1日2か所各50項目ほどの調査を実施する。その場で診断し、その結果を研究者たちが集計分析する。10年間の活動により、矢作川流域の全容はほぼ解明され、流域の市町村ではこの診断をきっかけに森づくりが大きく進展した。研究者による科学的な手法と分析、森林ボランティアリーダーたちによる愉しさの演出が、参加した一般市民のみならず森林保有者や行政の姿勢を大きく変えることになった。何よりも参加した一般市民の人工林についての誤解を解き、新たな応援団として森づくりに関わり始めたことは画期的であった。さらに森の健康診断は出前事業により、2017年1月現在、全国37都道府県に波及している。

先駆性・独創性

調査地の立地測定

  • どこでもだれでも実施できるように、平易なマニュアルと100円グッズを活用した調査器具の採用
  • 正確さと愉しさ、五感と科学を融合させたプログラム
  • 市民と研究者と行政が対等に議論できる場(実行委員会)づくり
  • 参加者が「愉しくて少しためになる」と感じられるよう先導できるリーダー育成
  • 参加者が調査結果を共有できるよう報告会開催、報告書の発行とWEB掲載
  • 多様な参加者や関係機関が連携できる組織づくり

啓発効果

地域

特に豊田市では、森の健康診断を契機に市民だけでなく行政レベルでも森づくりが加速した。森づくり条例の策定や森づくり委員会など今や先進的森林自治体となった。現在、それに追いつき追い越す勢いで岡崎市の森づくりが活性化している。さらに豊田市旭地区では森林保有者たちが中心となって、より精細な森の健康診断が自発的に始まり地域を挙げた森づくりにつながっている。

全国

参加者の口コミやマスコミの発信で広がり始めた森の健康診断は、2008年の全国出前事業開始に伴い急速に全国展開した。東海地方では豊川、庄内川、鈴鹿川など各流域ごとに、全国では鳥取県の千代川、山形県の最上川、高知県の吉野川はじめ37都道府県へ広まった。出前事業の受講者だけで4500人、各地で行われている森の健康診断そのものへの参加者を合わせると3万人を超えるものと推測される。

世代

子どもの森の健康診断

2009年から子どもの森の健康診断が始まり、特に小学校教育への導入「学校の森の健康診断」が広がっている。岐阜県恵那市、愛知県豊田市、岡崎市などでは各小学校で総合的学習の一環として取り組み、高校では兵庫県、静岡県などに広がった。流域、地域を超えた森の健康診断が、いま確実に世代を超え始めている。