名古屋市立名古屋商業高等学校

2017年7月24日

葦から“Zoo(ずぅ)"
~葦を原料とした商品開発、エコ・ツーリズムと環境保全の啓発活動~

連絡先

名古屋市立名古屋商業高等学校 http://www.nagoya-ch.ed.jp/
名古屋市千種区自由ヶ丘二丁目11番48号 052-751-6111

受賞のポイント

企業と連携のもと、生物多様性の保全などに効果のある葦を原材料とした布製品を開発し販売するビジネスと環境啓発を両立する活動を展開したことは、商業高校における先駆的な活動モデルとして今後の波及効果が期待されるものと評価された。

概要

  • 活動テーマ/当初は、「和紙を素材とした商品の開発」であった。和紙の国産原料の入手は困難で、ほとんどを輸入に頼っている現状を知り、その代替品とするために葦に着目した。調査を進めるにつれ、この植物が「水質の安定化」や「生物多様性の維持」に対して高い効果を発揮していることを知り、葦をメインとした商品開発を新たな目標に掲げることとなった。
  • 商品名/「葦原の保全が望ましい自然環境や生態系の維持にも繋がる、言わば葦が多くの生物を育む動物園となっているんだ!」との思いから、完成品には「葦から“Zoo"」と命名した。
  • 原料=葦の確保/干潟から刈り取った葦を貯蔵している関係機関を探し出すのに難航したが、唯一、葦の提供を申し出てくれたのが、稲永ビジターセンターだった。
  • 製紙工程/この葦を紙にすべく製紙会社を訪問したところ、「何とか紙にできそうだ」との評価をいただいた。さらに、この紙をミリ単位で裁断し、撚りをかけ、糸にしなければならないが、生産ラインに乗せるには、トン単位の材料が必要とのことで、葦から作った糸を在庫として保有している紡績会社にその糸を発注した。
  • 紡績工程/次に、津島毛織工業協同組合を訪問し、紡織の委託先について相談した。織物業者の紹介を受け、私たちが考案した葦布は現実のものとなった。
  • 染色工程/さらに商品の付加価値を高めるため、有松絞りによる染色を施し、地元の伝統工芸との融合を図った。
  • 性能評価試験/この布地が商品としての適正な品質を備えているのかを証明するため、県尾張繊維技術センターへ検査を依頼し、実際に流通している既製品と遜色のない品質を保証することができた。
  • 縫製工程/縫製業者の選定に関しては、発注量が少ないため難航したが、安価な縫製費で引き受けてくれたのが、社会福祉法人名身連第一ワークスと名古屋刑務所であった。こうして、水質の安定化と生物多様性の維持に寄与しうる商品が産声を上げた。
  • 流通チャネルの構築/国内だけでなく、世界に環境保全のメッセージを発信しようと、中部国際空港にある土産物店と交渉を重ねたところ、同店の店頭にて販売していただけるところまで活動を推進することができた。

原料となる葦の入手
原料となる葦の入手

移動ポケット「葦すと」
移動ポケット「葦すと」

先駆性・独創性

葦を原材料とした製品化計画
葦を原材料とした製品化計画

商業高校生である私たちであればこそ、エコロジーのみを声高に叫ぶだけでなく、ビジネス活動と連動させながら、葦の有効な利用法を模索してみようと思い立った。すなわち、適正な利潤をもたらすビジネスモデルの確立は、環境保全に意識を向ける人々の増加に繋がる。さらには、資金や技術面などの活動基盤が強化され、活動の継続性も補強されると考えた。具体的には右図の工程をたどることによって、新商品を市場に送り出すことを目標とし、各種の企業・団体からの支援を得て、4種の商品を完成させた。同時に、葦を素材として多くの人々に環境保全を訴えかける活動も推進しており、両者が連動することで、より一層の訴求力が発揮されることを期待している。

啓発効果

葦紙のランプシェード作り
葦紙のランプシェード作り

商品開発ばかりでなく、楽しみながら、環境保全への理解を深めるエコ・ツーリズムの展開にも取り組み、具体的には「工作教室」と「アニメ制作」を企画した。工作教室では“くるみボタン製作"と“葦紙のランプシェード作り"の2つのワークショップを開催し、体験した子供たちだけでなく、保護者にも葦への関心を高めていただけたと自負している。
アニメ制作では、葦が水質の安定化と生物多様性に貢献している様子を訴えかける動画を制作し、イベント時の冒頭で上映している。このような「環境保全活動に参加してみませんか」と気軽に声を掛けられる催しを、自らが主体となって実施することで、エコ・ツーリズムへの機運を盛り上げたいと願っている。