愛知県では、省資源やリサイクルなどの分野において先進的な技術や実効性のある活動に対し、愛知環境賞を提供する取り組みがあります。
愛知県は中京工業地帯の中心地であり、日本の産業発展に貢献してきました。
愛知環境賞は、産業発展とともに環境施策に関しても日本の最先端であるための取り組みの1つです。
愛知環境賞では、産廃業者やリサイクル業者など幅広い業種の企業が表彰される中、光回線などのインターネット回線を提供する会社が表彰されるケースもあります。
今回は、2023年に愛知環境賞の銀賞を受賞した企業の紹介および評価された取り組みについて解説します。
この記事でわかること
- 2023年の愛知環境賞で銀賞を受賞した企業の1つは大島造園土木株式会社
- 伝統ある造園施工業者で土壌研究や自然との共生における実績を持つ
- ツルパワーパネルやEG植栽パックなどの都市緑化技術が評価される
- 土壌改良材OH-Cなど成育基盤整備技術も高く評価された
最先端の技術を環境支援に最大限に活用する、先進的な企業の取り組みをぜひ理解してみてください。
2023年の愛知環境賞銀賞受賞は大島造園土木株式会社
2023年において愛知環境賞の銀賞を受賞した企業の1つは、大島造園土木株式会社です。
大島造園土木株式会社は、造園施工の専門業者として創業した企業で、近年は幅広いジャンルの事業を展開しています。
環境への配慮やエコ志向の高い取り組みが評価され、今回の受賞につながりました。
大島造園土木株式会社の説明や事業上の取り組みについて、以下の5つの視点を中心にして紹介します。
- 1872年創業の歴史ある造園施工専門業者
- 土壌と植物の関係性研究における先見性
- 壁面緑化における業界屈指の規模
- 人と自然の共生を造園技術で目指す
- 海外進出や新技術導入など新分野への挑戦
大島造園土木株式会社の先進的な取り組みを理解し、今回の受賞につながった背景を確認してください。
1872年創業の歴史ある造園施工専門業者
大島造園土木株式会社は、1872年に創業した歴史のある造園施工専門業者です。
これまで携わった工事案件は、公共事業および民間事業問わず幅広く、多種多様な造園事業を取り扱ってきました。
工事終了後のメンテナンスや維持管理にも定評があり、長年培ってきた技術を生かして緑地の価値を維持しつつ高める措置を講じます。
工事前の土壌や緑地調査の技術も高く、土壌の大島と呼ばれるケースもあるほど植栽基盤の専門家としての地位を確立しています。
さらに、顧客からの多様なニーズに応えるため、緑地空間のデザインや企画に携わる専門スタッフが常駐しているのも特徴です。
大島造園土木株式会社は、造園施工の専門業者としての側面だけでなく、維持管理や事前調査及び企画デザインに関しても総合的な対応ができる信頼のおける業者といえるでしょう。
土壌と植物の関係性研究における先見性
大島造園土木株式会社は、土壌と植物の関係性に関する研究において、優れた先見性があります。
大島造園土木株式会社は、土壌と植物の関係を科学的に把握する取り組みを昭和50年代から開始しました。
造園緑化分野における取り組みとしては、当時としては画期的なもので、現在に至るまで継続されています。
長年研究に取り組んできた結果、豊富で広範なノウハウを蓄積するに至り、数々の素材や調査器具の公開を実現しています。
近年はSDGsへの取り組みを積極的に行っており、先進的な技術の研究にとどまらず環境に優しい事業に目を向けた企業です。
壁面緑化における業界屈指の規模
大島造園土木株式会社は、壁面緑化において業界屈指の規模を誇ります。
つる植物を用いた壁面緑化技術は、中部地方を中心にしてさまざまな場所で施工実績を持ちます。
大島造園土木株式会社の壁面緑化は、建築物の壁面にとどまらず、土木建築物の壁面や道路施設および各種イベント会場など幅広い場所で利用されている技術です。
さらに大島造園土木株式会社は、壁面緑化の課題である早期被膜や省メンテナンスを一挙に解決できる技術力を持っています。
都市部においても活用できる技術であり、一部の自治体では壁面も緑化面積として認められるなど、今後は壁面を緑地として利用する考え方が普及してくるでしょう。
人と自然の共生を造園技術で目指す
大島造園土木株式会社は、人と自然の共生を造園技術で目指す取り組みも行っています。
美しく豊かな社会を実現するため、生物多様性の向上に貢献する取り組みを行っているのも特徴です。
たとえば、既存の緑地資産をさらに効果的に活用するため、外周林の間伐や林床の整備を行い多様な生物が生きられるメンテナンスを実施しています。
さらに、土地環境や目的および予算を考慮したうえで、最適な人工自然施設を造設するノウハウや技術も持っています。
都市部のオフィスに対しても、植栽の導入を提案できるのも大島造園土木株式会社の強みです。
人と自然が共生できる環境づくりへの貢献は、大島造園土木株式会社が取り組んでいる主要な事業の1つとなっています。
海外進出や新技術導入など新分野への挑戦
大島造園土木株式会社は、既存の造園事業などに加え、近年は海外進出をはじめとした新分野への挑戦を行っています。
たとえば、2020年には中国の企業向けに緑化資材開発や日本庭園などの設計協力を開始しています。
さらに、生産性向上を目的として、ドローン活用などのICT技術の導入にも踏み切りました。
各種機器の開発においても、従来のエンジン式から電動式に切り替えを進め、温室効果ガスの削減に加え騒音の低減や軽量化にも取り組んでいます。
大島造園土木株式会社には、今後も現状に満足せずに常に新しい可能性に目を向け、新事業に取り組んでいく姿勢が期待されます。
大島造園土木株式会社が愛知環境賞において評価された都市緑化技術
大島造園土木株式会社が2023年の愛知環境賞を受賞したポイントとして、同社の都市緑化技術が高く評価された点が挙げられます。
長年培ってきた技術や経験を活用し、都市部のヒートアイランド現象の緩和など環境負荷の軽減効果が期待できると評価されました。
同業界の中でも高いシェアを誇る実績を持つ点を含め、緑化環境の普及に貢献した点が注目されています。
大島造園土木株式会社が評価された都市緑化技術のうち、代表的な技術や効果を以下に4例紹介します。
- 全国初のツルパワーパネル技術
- 駐車場緑化に貢献したグリーンテクノパーキング
- EG植栽パックの導入によるのり面緑化の実現
- ヒートアイランド現象緩和などの環境負荷軽減効果も
環境面への配慮と豊富なノウハウが組み合わさって生まれた技術を、ぜひ参考にしてください。
全国初のツルパワーパネル技術
大島造園土木株式会社は、全国で初めてのツルパワーパネル技術を提供しました。
ツルパワーパネル技術とは、つる植物を壁面で生育する際に活用できる2×1mの長方形のパネルを用いた技術のことです。
つる植物のヘデラ類は、下垂方向に垂れ下がる成長を見せるのが一般的ですが、ツルパワーパネル技術の導入により、登はんの方向での生育が可能となりました。
ツルパワーパネルは、2023年現在で全国累計44万㎡の規模で活用されており、幅広く利用されています。
ツルパワーパネル技術を用いたヘデラ類登はんの形状導入は、都市部の緑化環境の改善や景観の向上につながったとして高く評価されています。
駐車場緑化に貢献したグリーンテクノパーキング
大島造園土木株式会社は、グリーンテクノパーキングと呼ばれる技術を提供し、駐車場の緑化環境に貢献しています。
2023年現在、全国で累計12,000㎡以上で採用されており、幅広い地域で活用されている技術です。
駐車場における石材の活用により、植物の生育に必要な土壌スペースの確保とともに、植物をタイヤの踏圧から守る仕組みを実現しました。
十分な土壌量を確保し、植物の生育環境を良好に保ち、緑化環境の維持を実現しています。
大島造園土木株式会社の駐車場緑化への取り組みは、環境に配慮した点と景観の美しさの両面で、高く評価されました。
EG植栽パックの導入によるのり面緑化の実現
大島造園土木株式会社は、EG植栽パックと呼ばれる技術の導入により、のり面緑化を実現しています。
EG植栽パックとは、植栽専用の不透水性素材の袋上のもののことです。
のり面などの本来植物の生育が難しい場所でも、パックに苗木を植え付けて植栽ができます。
パックの裏面は一部が生分解性としており、根を伸ばし大地への根の伸長を促進する効果も期待できます。
EG植栽パックの導入により、のり面を始め平坦地においても手軽に植栽が可能となりました。
本来の植栽作業に比べてコストと時間を大幅に削減できる技術として、高く評価されています。
ヒートアイランド現象緩和などの環境負荷軽減効果も
大島造園土木株式会社のさまざまな緑化技術の導入により、ヒートアイランド現象の緩和を始めとした環境負荷軽減効果が注目されています。
都市部においては、アスファルト面積の多さが影響して気温が上昇するヒートアイランド現象が問題視されています。
大島造園土木株式会社の緑化技術は、アスファルト面積を減らしヒートアイランド現象の抑制に貢献する手法です。
建物内の温度上昇を抑える効果もあり、空調設備利用の機会が減り、環境負荷の軽減につながる側面も評価されています。
大島造園土木株式会社の都市部における緑化技術は、環境負荷軽減効果を期待されて、今後も積極的に導入されていくと考えられます。
生育基盤整備技術も愛知環境賞において高評価を受けたポイント
大島造園土木株式会社が愛知環境賞を受賞したポイントとしては、都市緑化技術に加えて、生育基盤整備技術も挙げられます。
大島造園土木株式会社が提供する生育基盤整備技術は、同社が長年取り組んできた結果手に入れたノウハウが存分に生かされているものです。
大島造園土木株式会社の生育基盤整備技術について、以下の3つのポイントを中心に紹介します。
- 長谷川式土壌調査器具の導入
- 有機と無機の複合土壌改良材OH-Cの開発
- 省力化とミスの軽減を達成したスマートグリーン潅水システム
愛知環境賞を受賞した大島造園土木株式会社の取り組みについて理解して、同社の環境への貢献について触れてみましょう。
長谷川式土壌調査器具の導入
大島造園土木株式会社は、植栽基盤の調査を行うためのツールとして、長谷川式土壌調査器具を導入しました。
長谷川式土壌調査器具とは、調査対象の土壌に突き刺す形で調査ができる機器のことです。
長谷川式土壌調査器具が提供されるまでは、土壌調査を実施するために断面を生成する必要があり、多くの基盤調査を実施するには手間と時間がかかっていました。
土壌調査を簡単に行える長谷川式土壌調査器具の導入により、調査の簡便化だけでなく、大量のデータ収集が実現可能となります。
その結果、植栽基盤の状態を科学的かつ定量的に分析できるようになりました。
大島造園土木株式会社の長谷川式土壌調査器具は、植樹の健全な生育環境を整えるうえで有用なツールとして評価されています。
有機と無機の複合土壌改良材OH-Cの開発
大島造園土木株式会社は、長年の研究の成果として、有機と無機の複合土壌改良材であるOH-Cの開発に成功しました。
OH-Cは、優れた養分効果を持つ腐熟堆肥に、土壌有効菌とパーライトを配合して生成された素材です。
土壌内の微生物が作用し、土壌の団粒化の促進により高い保水性や通気性および透水性のある土壌材として提供されています。
OH-Cの導入により、植物の成長が促進され、緑豊かな環境の維持が可能となりました。
森林など自然の天然記念物においても多数の導入実績があり、緑を守る技術として注目されています。
省力化とミスの軽減を達成したスマートグリーン潅水システム
大島造園土木株式会社は、スマートグリーン潅水システムの導入により、潅水におけるミスの軽減や省力化を達成しました。
スマートグリーン潅水システムは、年間を通じて潅水のタイミングや水量を適切に設定できます。
さらに、専用センサーとの組み合わせにより警報機能や節水機能の導入も可能です。
同システムの活用により、土壌水分や雨および流水量を測定するセンサを同時に搭載しており、作業の手間を最小限に抑えてくれます。
スマートグリーン潅水システムは、土壌水分量の最適化が可能で、効率的に節水効果が得られる技術です。
大島造園土木株式会社の将来性あふれる取り組みを理解しよう
2023年の愛知環境賞の銀賞を受賞した大島造園土木株式会社は、長年造園施工事業を担ってきた老舗の企業です。
昔から取り組んできた造園技術を活かして導入された、都市部における緑化技術と生育基盤整備技術が高く評価されました。
全国初のツルパワーパネル技術や、長谷川式土壌調査器具など、評価されたポイントは多岐にわたります。
導入以前では不可能と考えられていた取り組みが、大島造園土木株式会社の技術により現実のものとなっています。
大島造園土木株式会社は、環境改善への貢献のため、現状に満足せずこれからも新しい技術の開発に取り組んでいくでしょう。
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