愛知県では、省資源やリサイクルなどの分野における優れた技術や活動などを表彰する、愛知環境賞という取り組みがあります。
愛知環境賞は、産業が発展しモノづくりが活発であるとともに、環境施策においても最先端であり続けるための施策の1つです。
産廃業者やリサイクル業者など幅広い業種の企業が表彰される中、光回線などのインターネット回線を提供する会社が表彰されるケースもあります。
今回は、2024年の愛知環境賞において金賞を受賞した企業の紹介やその取り組み内容について紹介します。
この記事でわかること
- 2024年の愛知環境賞金賞は株式会社シーテックが獲得した
- 電力設備など社会のインフラを整備する企業
- 危険予知と治山技術が評価され受賞につながる
- KODOBOKU技術で共生できる森林環境を目指す
株式会社シーテックの取り組みを参考にして、最先端の環境技術について触れてみてください。
2024年の愛知環境賞における金賞受賞は株式会社シーテック
2024年の愛知環境賞で金賞を受賞したのは、株式会社シーテックという企業です。
長い歴史を持つ企業で、電力設備やエネルギー供給を主たる事業としながら、環境や省エネルギーへの高い意識を持っています。
株式会社シーテックの特徴として、主に以下の5つの視点から解説をします。
- 1962年創業の中部電力グループ企業
- 電力の安定供給を担う電力設備分野
- 高度情報化社会を支える情報通信設備分野
- 陸と海双方で高い技術を誇る土木建築分野
- 自然の可能性を最大限に追及する再生可能エネルギー分野
愛知環境賞で評価された内容を知る前に、株式会社シーテックの特徴を理解してみてください。
1962年創業の中部電力グループ企業
株式会社シーテックは、1962年に創業した社歴が長い企業です。
中部地方の電力供給を担う中部電力のグループ会社として、愛知県や静岡県など幅広い範囲で事業活動をしています。
社会の維持に欠かせない電力やインフラの提供を主たる事業としている会社で、昔から社会を支えています。
近年では、環境に配慮した活動も顕著にみられ、高度な技術とノウハウを活かしさまざまな社会課題に挑戦する姿勢を持って事業を展開している企業です。
株式会社シーテックは、これまで培ってきた技術をさらに発展させ、社会の変化に即応しながら常に新しい価値を提供する信頼できる企業といえるでしょう。
電力の安定供給を担う電力設備分野
株式会社シーテックが行う事業分野の1つに、電力設備分野が挙げられます。
中部地方における安定した電力供給を担うため、電力設備の建設および保守管理に取り組んでいます。
取り扱う電力設備も多岐にわたり、水力発電設備など発電用設備の建設はもちろん、送電や変電を行う設備の管理運営なども事業の範疇です。
大規模送電用の鉄塔建設や各種工事および撤去作業など、架空送電設備の取り扱いもあります。
近年は、都市景観の向上や災害対策の観点から、電線の埋設や電線地中化工事の需要が高まっています。
株式会社シーテックでは、豊富な技術とノウハウを活かし、地中送電設備の設営および管理運営も対応可能です。
高度情報化社会を支える情報通信設備分野
株式会社シーテックは、情報通信設備の分野でも事業を展開しています。
近年の急速なIT技術の進化に伴い、最先端の技術を用いた高度情報化社会を支えるために取り組んでいます。
たとえば、電柱や光ファイバーなど、電力用通信設備の設営や保守点検作業なども事業範囲です。
スマートフォンの普及により注目度の高いモバイル通信業務も行っており、携帯端末の使用環境を整えています。
近年は、インターネットを利用して手軽に各種情報を収集できる時代になりました。
株式会社シーテックは、持ち前の高い技術と経験を活かし、情報通信といった電力関係以外の事業に取り組んでいる企業です。
陸と海双方で高い技術を誇る土木建築分野
株式会社シーテックでは、土木建築分野の取り扱いもあります。
電力設備の土木工事や、水力設備工事など、事業として取り扱っている分野は多岐にわたります。
陸における事業だけではなく、浚渫船や浚渫ロボットを活用した海洋における土木事業にも注力しているのが株式会社シーテックの特徴です。
これまで取り組んできた実績としては、火力発電所や変電所における整備土木工事や、水中堆積土砂の除去作業などが挙げられます。
電力関係の設備にとどまらず、社会を支える土木インフラ全般を取り扱っており、まさに社会生活を土台から支えている企業といえるでしょう。
自然の可能性を最大限に追及する再生可能エネルギー分野
再生可能エネルギー分野も、株式会社シーテックが取り扱う事業の1つです。
以前からの電力設備事業で培ってきた経験と技術を活かし、自然の力を活かした再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組んでいます。
再生可能エネルギー分野においては、主に以下の3つの事業を展開しています。
- 風力発電
- 太陽光発電
- 小水力発電
風力発電においては、三重県青山高原地帯など中部地方を中心に風力発電設備の設営に取り組んできました。
太陽光発電においては、大規模な太陽光パネル設置や、名古屋市の小中学校の屋根に小規模な設備を設置し管理しています。
小水力発電では、ダムからの放流水を利用した活電設備など、これまで使用していなかった水力の有効利用を推進しています。
株式会社シーテックが評価された危険予測と治山技術を紹介
2024年の愛知環境賞を株式会社シーテックが受賞したのは、同社の災害危険予測と治山技術が評価されたためです。
電力設備事業など幅広い専門的事業を通して培ってきた経験と技術が、森林の環境保全に役立てられ、環境賞を受賞するまでに高く評価されました。
株式会社シーテックが愛知環境賞の受賞をした技術の内容を、以下の2点を通して紹介します。
- 森林環境保全と脱炭素社会の実現への貢献が評価される
- ドローンなど最新技術により災害要因の抽出と対策の立案
株式会社シーテックの技術が愛知環境賞以外にも評価され受賞した経歴についても紹介するので、同社の取り組みについて理解する際の参考にしてください。
森林環境保全と脱炭素社会の実現への貢献が評価される
株式会社シーテックの事業は、森林環境保全と脱炭素社会の実現に貢献すると高く評価されました。
株式会社シーテックはKODOBOKU技術と呼ばれる新しい技術を開発し、環境への負荷を最小限にとどめた素材活用手法を編み出しました。
KODOBOKU技術の詳細については、後述します。
従来の電力設備の工法に比べ、二酸化炭素の排出量を大幅に削減できるため、環境にやさしい技術であると評価されたのが受賞の要因です。
活用する素材も従来の物とは異なり身近なものを活用するため、森林環境の保全への貢献および森林資源の消費の低減が実現しました。
株式会社シーテックの環境を重視した技術開発は、森林環境保全と脱炭素社会の実現に向けて有用な技術であると考えられています。
ドローンなど最新技術により災害要因の抽出と対策の立案
株式会社シーテックは、前述の環境保全技術に加えて災害要因の抽出と対策の立案において、高く評価されました。
主要な送電設備である鉄塔は、尾根の上や山の中腹など山間部に設置されている場合が多いため、保守が難しいのが課題です。
重機や車両の乗り入れが難しい場所が多く、点検や修理作業に苦労していました。
そこで、株式会社シーテックはドローンなどを用いた3D測量による高精度な地形モデルの形成に成功します。
さらに、地質と雨量から斜面流涙の予測を可視化し、災害要因の抽出ならびに対策の立案ができるシステムを作成しました。
鉄橋などが設置されている山間部の状態を観察せず正確な解析が可能になったため、点検保守作業の正確性向上に貢献したシステムです。
経済産業省主催の賞を受賞した経歴を持つ
株式会社シーテックの技術は、2024年の愛知環境賞以外にも受賞経歴があります。
2021年には、経済産業省が主催する第4回インフラメンテナンス大賞において優秀賞を受賞しました。
株式会社シーテックが生み出した身近な素材活用が、環境にやさしく災害対策に効果があると評価され、受賞した実績を持ちます。
重機などの機器を用いず、人力で運搬および設置が可能な汎用性の高さも、高評価のポイントとなりました。
長年培ってきた電力設備事業のノウハウや経験を活かし、これからも革新的で自然保全に効果のある技術を提供してくれると期待されています。
環境負荷を最小限にとどめる株式会社シーテックのKODOBOKU技術
株式会社シーテックが、愛知環境賞などの受賞を果たした要因として、KODOBOKU技術の開発が挙げられます。
自然の素材を最大限に活かし、環境に与える負荷を最小限に抑える技術として、高く評価されました。
KODOBOKU技術は、山間部の電力設備における災害対策として導入された技術ですが、他の分野にも十分応用できる可能性のある汎用性の高いものと考えられます。
KODOBOKU技術について、以下の3点に焦点を当てて紹介します。
- 建設機械に頼らない自然素材を活用した取り組み
- KODOBOKU技術が目指す4つのポイント
- 流体解析技術を用いた予測性の高い調査
今後環境にやさしい技術は、より注目を集めると予想されるため、最先端技術であるKODOBOKU技術をぜひ参考にしてみてください。
建設機械に頼らない自然素材を活用した取り組み
KODOBOKU技術により、自然素材を活用した設備の増設が可能となり、建設機械に頼らない災害対策が可能となります。
電力設備を設置する山間部にある素材をそのまま活かし、頑丈で安定感のある土台の設営が可能です。
たとえば、山にある石を活用して分散排水に活かしたり、山道階段を作成したりするストーンバッグ技術があります。
山間部の苗木を保護する目的として、ストーンバッグ技術が用いられる事例もあります。
ストーンバッグは、昔の山城の建設技法をヒントにして生み出された技術です。
株式会社シーテックの取り組みからは、先人の知識や技術からも積極的に学び、活かす姿勢が感じられます。
KODOBOKU技術が目指す4つのポイント
株式会社シーテックがKODOBOKU技術を用いて目指すのは、以下の4点です。
- 森が自ら回復するための手助けを行う
- 森林環境への配慮を徹底して行う
- 脱炭素への貢献を目指す
- 地域コミュニティとの連携を推し進める
KODOBOKU技術による斜面災害対策は、環境に負荷をかけず自然のままを活かすのが主眼であるため、森林そのものの回復機能を増進する効果が期待できます。
石などの現地にある素材を活用して資材の外部からの持ち込みを最小限にし、森林環境への配慮を忘れず作業を実施するのも特徴です。
環境悪化の懸念が大きいプラスチック素材の代わりに、ステンレスなどの環境にやさしい素材の金属製品を積極的に取り入れます。
プラスチック素材は汎用性が高く便利ですが、経年劣化によりマイクロプラスチックになり海洋汚染の要因となる点が問題視されている素材です。
KODOBOKU技術によるプラスチック素材活用の抑制は、環境汚染対策に高い効果があると考えられています。
さらに、建設機械の使用を抑えた作業により二酸化炭素の発生を最小限にとどめ、脱炭素社会への貢献を目指します。
保有する技術を地域のコミュニティと連携するために活用し、企業だけでなく地域と一体になって森林づくりの基盤整備を目指すのも、株式会社シーテックのKODOBOKU技術の特徴です。
流体解析技術を用いた予測性の高い調査
KODOBOKU技術を用いて補強を施す必要のある場所を特定する際に、株式会社シーテックは流体解析技術を用いて予測性を最大限に高めています。
ドローンなどの最先端の技術を用いた3D測量により、高精度な落水線図を作成し、流水が集中する箇所及び対策を講じる必要がある場所の特定が可能です。
対策を講じた後は、再度解析を行って効果の立証を実行します。
高精度のシミュレーションにより正確な危険予知を行い、KODOBOKU技術を用いてピンポイントに補強を行えるのが、株式会社シーテックの強みといえるでしょう。
株式会社シーテックが受賞した災害対策に関する取り組み内容を理解しよう
2024年に愛知環境賞を受賞したのは、電力設備事業などを手掛ける株式会社シーテックです。
社会のインフラを支える企業として昔から取り組んできた技術やノウハウを活かし、再生可能エネルギー分野などエコに関する取り組みも行っています。
株式会社シーテックが愛知県環境賞において評価されたのは、災害危険予知と治山技術でした。
ドローンなど最先端のツールを活用した3D解析技術で危険個所を特定し、補強および改修を実施します。
補強に用いるKODOBOKU技術も、高く評価された要因です。
KODOBOKU技術においては、現地の石など設備の設置場所にある自然素材や、ステンレスなど自然への負担が少ない金属素材を活用します。
環境汚染の一因とされているプラスチック素材の活用を最小限に減らし、自然への負担軽減と脱炭素社会に貢献しています。
株式会社シーテックは、今回の受賞にとどまらず今後さらに高い技術で環境保全に貢献してくれるでしょう。
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